きみの色
久しぶりのアルバイトだというのに、18時から22時の間、受付カウンターの担当は私1人だった。
それに今日は土曜日で、お客さんも多い。
客の出入りが激しく、ずっと働き続け、交代の時間になるまで、あっという間だった。
交代の時間になると店長がやってきた。
デザインが新しくなったネイルは相変わらず長い。
「鷹宮ちゃんお疲れぇ」
鼻にかかる声で挨拶をされ、私も挨拶を返す。
カウンターで引き継ぎの連絡を終え、しばらく雑談していると入口の方からお客さんがやってきた。
「あれっ、葉月ちゃん」
由井くんとあさひくんが、驚いた顔をしてこっちにやってくる。
その後ろには数人、阿久津沢の生徒だろうか?
似たような背格好の男の子たちがいる。
「ここでバイトしてんだ」
「どうも…」
出来れば仕事中に遭遇したくなかった。
胸元にデイジーと刺繍のされた、オレンジと黄色のストライプの、とてもおしゃれとは言えない制服を着ているのを見られてしまったのが少し恥ずかしい。
張り付いた笑みで挨拶を返すと、横にいた店長が「何、知り合い?」とこちらを見た。
「えっと…まぁ、はい」と私が曖昧な返事をかえす中、由井くんが「友達ー」とふざけたように笑う。
そっか…私たち、友達と呼べるほどの関係なのか…
由井くんを見るとニコッと微笑み返される。
今まで友達と呼べる人なんていなかったから、なんだか少しむず痒い。