パーフェクトブルー -甘くて眩しいきみの色-


「佐百合ー」



空き教室らしい場所に着き扉から奥を覗きながら由井くんが名前を呼んだ。



「こ、こんにちは…」と、私も恐る恐る中を覗く。



「葉月さん!」と、嬉しそうに顔を輝かせたあさひくんがこちらに駆け寄ってきた。


古びた空き教室。

机や椅子が乱雑に隅に固められ、学校らしくないソファや椅子がいくつか置いてある。

その中心に彼はいた。


他の生徒に囲まれるようにして、柔らかそうな布製の椅子に腰掛けている。


由井くんが話していた言葉通りの阿久津沢のトップ。



他の生徒がわいわい話し込んでいるのを横に、柳は窓の外をじっと見つめているみたいだった。



彼と初めて会った時に重ねた、絵本に出てくる魔王。


あながち私の想像は、間違っていなかったのかもしれない。




名前を呼ばれた柳がこちらをゆっくりと振り返り、私がいる事に気がつく。


それまで彼を纏っていた
緊張感のある空気が少し和らいだ気がした。



なんでここに、とでも言いたげな表情だった。


私のことを見つめたまま、なんどか目をしばたたかせる。



周りにいた生徒たちも、柳の視線の先を応用にしてこちらに注目している。


あさひくんのような派手な見た目の子たち。

世間一般的には いかつい 印象を持たれるであろう見た目だ。



あいつ、誰?みたいな空気が私に押し寄せる。

緊張でどうにかなりそうだ。


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