パーフェクトブルー -甘くて眩しいきみの色-
柳は立ち上がると、その長い足で
扉まで来てくれた。
「柳のおばあちゃんにお礼しに行ったら、これ届けてくれって頼まれて…」
彼にスマホを渡す。
「あー!だから柳さん今日一回も連絡出なかったんだ!」と、横にいたあさひくんが少し呆れたような声で言った。
「さんきゅ」と彼が小さくお礼の言葉を述べて、スマホを受け取る。
スマホを家に忘れたことに今の今まで気づいていなかった様子だ。
柳らしい。
それにしても視線が…
柳の背後から、おそらく彼のことを慕っている人々視線がひしひしと伝わってくる。
今、絶対に注目されているのは私だ。
「じゃ、あ、帰るね…」
この場所にいるのは気まずすぎて、私は足早にその場を立ち去ろうとした。
「前まで送る」と、柳が私を引き留め
由井くんと入れ替わるようにしてもと来た道を歩いて帰る。
「びっくりしただろ、こんな場所で」
彼が口を開いたのは、しばらく歩いてからだった。
いつもよりも少ない口数に少し緊張していたが、声は優しさを含んでいていつも通りの柳だ。
「別に隠してたわけじゃない」と彼は付け加えた。
「うん、ちょっとだけね」と私は答える。
「アンタが思ってるほど、悪いところじゃない」
「うん、知ってるよ。
あさひくんや由井くんといる柳見てればわかるもん」
柳が優しく微笑んで目を伏せた。
結局、校門のところまで柳は送ってくれた。
じゃあねと言うと、葉月 と名前を呼ばれる。