シリーズ全UP済。果物のように甘いだけじゃない
「眠い。寝てもいい?」
「……ちょっと待って。お友達の関係でお泊りはおかしいんじゃない?」
「手、出さなきゃいいじゃん」
昔から大くんはマイペースだった。こんな流れで住み着いたんだよね……。
「じゃあ、恋人が異性の友人の家に泊まったらどう思う?」
質問を投げかける。
「ヤダ。でも、今は完全にフリーだし」
「そういう問題じゃないよ……」
「美羽はいるの? 特定の男?」
「いるわけないでしょ」
「俺と別れてから何人の男としたの?」
「は?」
大くんは何人の女性と……したんだろう。
お腹の底からふつふつと嫉妬心が沸き上がってくる。私の大くんじゃないのに――。
「俺以外の男が、美羽に触れたなんて考えたくないな」
小さな声で呟いた。ちょっとシーンとなって目が合う。
「なんで何も言わないの?」
「え、だって」
大くんは私をじっと見つめてくる。だから、ついつい口から言葉がこぼれた。
「……大くん以外、ないよ」
一瞬、空気が止まったかのように、酸素濃度が薄くなって息苦しくなる――。
「そうなんだ。ふーん」
「……私は、簡単に誰とでもする女じゃないの……。って、もう二十九歳なのにね。笑えるでしょ」
「そんなことないよ。そうやってピュアで一途なところが、俺は好きだったよ」
え――好きって言われるたびに、心地よい胸の高鳴りに支配される。
目を丸くしていると、ニコリとして頭を撫でてくれた。
「安心して。ね、美羽。襲わないから。ちょっと眠らせてね」
ころんと横になった大くんは、私の太ももを枕にして、甘えてくる。
温かい重みが心地いいから、強引に引き剥がせなくて戸惑ってしまう。このまま、時が止まってしまえばいいのに。
「美羽の太もも気持ちいい……。ずっと、そばにいたい」
甘えてくれる大くんにキュンキュンしていたのは、秘密。
冷静なふりをしていたら、スースーと寝息が聞こえてきた。どうやら、本気で眠りに入ってしまったみたい。
風邪をひかせてはいけないから、そっと頭を下ろして掛け布団を持ってきた。気持ち良さそうに眠っていて、安心している子供のような寝顔。
綺麗な唇に整った顔……。
ゴツゴツしているけど、綺麗な指が目に入り。
その指に翻弄されていた甘いひとときを思い出して、一人頬を熱くしている。
もう一度、大くんと恋愛をしても……いいのかな。
こうやって会いに来てくれるということは、私を好きでいてくれてるの?
それとも、過去が懐かしいのかな……。
なかなか眠れなくて大くんの寝顔を朝方まで見つめていた。
ふっと気がつくとベッドの上にいた私。背中に人の体温を感じ、後ろから抱きしめられていることがわかった。大くんは添い寝して頭を撫でてくれている。
ドキドキドキ……。耳が熱い……。
息を潜めて眠ったふりをしている。部屋はもう明るい。
休みだからまだ眠っていてもいいのだけど、落ち着かない。
「美羽。また来るからね」
眠っていると思ったのか、大くんは優しい声で呟いてベッドから降りた。
今日も仕事があるのだろうか。
昔も眠っている私を起こさないように、そっと家を出て行ったことを思い出し、泣きそうになる。
ガバっと起き上がった。
「大くん、お仕事?」
驚いた顔をして私を見つめた大くんは「うん」と言ってニッコリ笑った。
「またすぐ来るからね。連絡もする」
「……うん」
「寂しがらないで。行ってきます」
近づいてきた大くんは、私のおでこにチュッとキスをして出掛けてしまった。
昨日の夜まで、一人でいても平気だったのに。
大くんがいなくなってしまったこの部屋は、色が無くなったように殺風景に見えた。
早く――早く――会いたい。
「……ちょっと待って。お友達の関係でお泊りはおかしいんじゃない?」
「手、出さなきゃいいじゃん」
昔から大くんはマイペースだった。こんな流れで住み着いたんだよね……。
「じゃあ、恋人が異性の友人の家に泊まったらどう思う?」
質問を投げかける。
「ヤダ。でも、今は完全にフリーだし」
「そういう問題じゃないよ……」
「美羽はいるの? 特定の男?」
「いるわけないでしょ」
「俺と別れてから何人の男としたの?」
「は?」
大くんは何人の女性と……したんだろう。
お腹の底からふつふつと嫉妬心が沸き上がってくる。私の大くんじゃないのに――。
「俺以外の男が、美羽に触れたなんて考えたくないな」
小さな声で呟いた。ちょっとシーンとなって目が合う。
「なんで何も言わないの?」
「え、だって」
大くんは私をじっと見つめてくる。だから、ついつい口から言葉がこぼれた。
「……大くん以外、ないよ」
一瞬、空気が止まったかのように、酸素濃度が薄くなって息苦しくなる――。
「そうなんだ。ふーん」
「……私は、簡単に誰とでもする女じゃないの……。って、もう二十九歳なのにね。笑えるでしょ」
「そんなことないよ。そうやってピュアで一途なところが、俺は好きだったよ」
え――好きって言われるたびに、心地よい胸の高鳴りに支配される。
目を丸くしていると、ニコリとして頭を撫でてくれた。
「安心して。ね、美羽。襲わないから。ちょっと眠らせてね」
ころんと横になった大くんは、私の太ももを枕にして、甘えてくる。
温かい重みが心地いいから、強引に引き剥がせなくて戸惑ってしまう。このまま、時が止まってしまえばいいのに。
「美羽の太もも気持ちいい……。ずっと、そばにいたい」
甘えてくれる大くんにキュンキュンしていたのは、秘密。
冷静なふりをしていたら、スースーと寝息が聞こえてきた。どうやら、本気で眠りに入ってしまったみたい。
風邪をひかせてはいけないから、そっと頭を下ろして掛け布団を持ってきた。気持ち良さそうに眠っていて、安心している子供のような寝顔。
綺麗な唇に整った顔……。
ゴツゴツしているけど、綺麗な指が目に入り。
その指に翻弄されていた甘いひとときを思い出して、一人頬を熱くしている。
もう一度、大くんと恋愛をしても……いいのかな。
こうやって会いに来てくれるということは、私を好きでいてくれてるの?
それとも、過去が懐かしいのかな……。
なかなか眠れなくて大くんの寝顔を朝方まで見つめていた。
ふっと気がつくとベッドの上にいた私。背中に人の体温を感じ、後ろから抱きしめられていることがわかった。大くんは添い寝して頭を撫でてくれている。
ドキドキドキ……。耳が熱い……。
息を潜めて眠ったふりをしている。部屋はもう明るい。
休みだからまだ眠っていてもいいのだけど、落ち着かない。
「美羽。また来るからね」
眠っていると思ったのか、大くんは優しい声で呟いてベッドから降りた。
今日も仕事があるのだろうか。
昔も眠っている私を起こさないように、そっと家を出て行ったことを思い出し、泣きそうになる。
ガバっと起き上がった。
「大くん、お仕事?」
驚いた顔をして私を見つめた大くんは「うん」と言ってニッコリ笑った。
「またすぐ来るからね。連絡もする」
「……うん」
「寂しがらないで。行ってきます」
近づいてきた大くんは、私のおでこにチュッとキスをして出掛けてしまった。
昨日の夜まで、一人でいても平気だったのに。
大くんがいなくなってしまったこの部屋は、色が無くなったように殺風景に見えた。
早く――早く――会いたい。