シリーズ全UP済。果物のように甘いだけじゃない

「美羽、もう遅いから……泊まるよね?」
「うん。そのつもりだったけど、迷惑じゃない? 突然押しかけちゃってるし」
「迷惑なわけないだろ。今日からでも一緒に住みたい」

真剣な眼差しにくらりと、めまいを起こしてしまいそうになる。私も、一緒に住みたい……でも、お父さんとお母さんになんと言えばいいのだろうか。
「実はさ……メンバーに美羽とのこと、伝えたんだ」
急に声のトーンが下がった。あまりいい話ではないのかもしれない。でも、覚悟を決めて話を聞く。

「二人とも過去のことを謝ってくれたよ。でもさ、交際は反対だってさ。もしも、俺と美羽がゴールインしたら、過去のスキャンダルがバレてしまうかもしれないから……」
「……そうなんだ」
心に冷たい塊ができていく気がした。

「だから、解散して結婚したらどうだって言われたんだ。なんか、寂しいよな。力を合わせて頑張ってきたのにさ」
私のせいで大くんは悩んで苦しんでいる。
やっぱり、結ばれてはいけない運命なのだろうか。

「心配するな。ちょっと時間はかかるかもしれないけど、祝福されるように頑張ろう。ご馳走様でした。さ、美羽。風呂入ろうか?」
「どうぞお先に」
「一緒に入るんだよ。片時も離れたくないから」

顔が熱くなる。たしかに、付き合っているんだしそういう関係になるのは予想がついた上で家に来たのだけど……。
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