シリーズ全UP済。果物のように甘いだけじゃない
「そんなワケありの社員がいるなんて知ったら、速攻であなたはクビになるでしょうね。ご両親も悲しむね」
クスクス笑って勝ち誇ったような表情を見せてくる。
「あなたが大樹に近づいた罰。大樹はあたしと結ばれる運命なの。世間の人だってそう思っているし、応援してくれていると思う」
自信満々に言われると、何も言い返せない。
情けない気持ちを押し殺しつつ、冷静に考える。本当に寧々さんにそんなことができるのだろうか?
「寧々さんはすごい人かもしれませんが、そんなにうまくいきません」
「それがね。できちゃうんだなぁ。あたしのパパの力を使っちゃえばなんでもできるの」
余裕たっぷりに笑っている……この人、悪魔だ。
「どうして過去のことも知ってるんですか?」
「大樹をビックにしたのは、あたしだから。パパにお願いしたの。もちろん、大樹にもCOLORにも売れる要素があったから、パパは動いてくれたんだけど」
大くんを売り出すために、動いてくれた人……なんだ。きっと、寧々さんは早くから大くんを知っていて、近くで見ていて……芸能人としての彼だけじゃなく男性としても好いていたんだ。私とおんなじだ。でも、立つ土俵が違う。