シリーズ全UP済。果物のように甘いだけじゃない
「あなたと大樹が結ばれても何もいい事はない。大樹がとあなたと結ばれたら、マスコミは一斉にあなたを徹底的に調べるのよ。そうしたら、過去のスキャンダルでバッシングの嵐になるでしょうね。COLORも衰退してCOLORの所属する事務所のタレントにも傷がつく。わかる?」
その通りだ。それを理解したつもりで大くんと歩んでいく道を選んだのだ。でも、今すごく不安で怖い。押しつぶされてしまいそう。
「それにね。大樹はあなたを好きじゃない。償いで一緒にいるんだと思う。大樹は、私のことが好きなのよ」
「そんなはずないです」
だって。大くんからは、愛を感じたの。あれは、嘘偽りじゃないと思う。
「大樹をこれ以上苦しませないであげて。会わないであげて」
「……今すぐにはお約束できません。大くんのことが、大好きなんで……」
「…………降りて」
「え……」
「早く、降りて」
怒鳴られて私は慌てて車から降りた。車はその場所から去って行く。
「寒い……」
小さな声はオフィス街の夜空に消えていく。
こんな日は、大くんの胸の中で眠りたい。でも、そんなことしたら……大くんの迷惑になってしまうかもしれない。
って、私。過去と同じようなことで悩んでいる。成長してないな……。