シリーズ全UP済。果物のように甘いだけじゃない
不安で涙がつい溢れる。ご飯も食べたくなくてカーペットに崩れるように座ると、涙がボロボロと溢れてきた。もう、イヤ……。耐え切れないよ……。
携帯を握って電話をかける。
「もしもし」
『どうしたの? 泣いてるの?』
「もう……駄目かもしれない」
私が電話をした相手は全てを知っている玲だった。
『……どうして、美羽ばかり辛い目に合うのかな。芸能人と一般人の恋愛は難しいかもしれないね。それに加えて美羽と彼には過去があるから……。償いで美羽に近づいたのかな。そうは思えないけど』
「どうして連絡がないのかわからなくて……」
『事務所か宇多寧々に邪魔されてるのかな。美羽、無理することないよ。美羽のタイミングで会いに行ってちゃんと話しておいで』
「うん」
玲に話を聞いてもらえて少しだけ……心が軽くなった。でも、会いたくて会いたくてたまらなかった。大くん、どうして連絡くれないの?
電話を切ってそっとカーペットに置く。
「あ、思い出した」
寧々さんと過去にも会っていたことを思い出したのだ。
小桃さんにカラオケに連れて行ってもらった時、大くんと寧々さんは一緒にいたんだよね。私と同じ頃に出会っていたのか。
なのに、なかなか手に入らなくて執着しているのかもしれない。寧々さんは手強い相手だ……。勝てる自信がないよ。はなのしおりをぎゅっと抱きしめる。
「はな……。ママはどうしたらいいのかな」