シリーズ全UP済。果物のように甘いだけじゃない
土曜日の朝、ぼんやりする頭のままベッドに入っていると、チャイムが鳴った。
朝から誰だろうか。ヨロヨロと立ち上がり歩いて玄関を開けると、お母さんが立っていた。
「お母さん……」
「美羽」
厳しい表情をしているお母さんは、中へ入ってきた。何かあったのだろうか。
座布団に座ったお母さんにお茶を出した。
「来るなら来るって言ってよ。何も用意してないよ。残業続きで疲れちゃっていて眠ってたの。なかなか帰らなくてごめんね」
ペラペラ話す私をじっと見つめていたお母さんは、眉間にシワを寄せながら苦い顔をしている。
「うちに手紙が届いたの。美羽と紫藤さんが再び会っているようだ。過去のことをマスコミに流すって……。本当なの?
誰がこんなこと。せっかく美羽は就職して立派にやっているのに」
苦しそうな声で言うお母さんを見ると、罪悪感が襲ってきたけど堂々としようと心の中で決意して口を開いた。
「大くんとは……仕事で再会したの。私の会社の商品のイメージキャラクターになって、撮影に同行したの」
「会っているって、本当だったのね」
悲しそうな表情をされると胸が痛い。
「はじめは関わらないようにしていたんだけど、私が一方的に大くんに会いたくなってしまって……」
大くんは、私を愛してないかもしれないのに、どうしてか大くんをかばってしまう。
気持ちを落ち着かせるためにお茶をひと口飲んで、お母さんを見ると考え込んだ表情だ。
気まずくなって外を見ると曇り空でますます気持ちが落ち込んでしまう。
「大くんは悪くないの。私が近づいたから何度も会うことになってしまって。悪いことをしてると思ったけど、どうしても大くんのことが好きなの。あの人以外の男性とは一緒に過ごせないと思う。立派な大人なのにワガママばかりごめんね」
深く息を吸い込んだお母さん。親不孝な娘でごめんなさいと心から反省する。もうアラサーなのに結婚もしないで、きっと心配しているだろう。
早く落ち着いてほしいと願っているに違いない。
「お父さんとお母さんにまで迷惑をかけて申し訳ないと思ってるよ。親孝行の一つもできなくて情けない娘だよね」
「美羽は、お母さんの大事な娘よ。情けないなんてそんなこと絶対にない」
深すぎる母親の愛情にポロッと涙が落ちてしまった。
お母さんは怒ったり注意したりするけれど、いつも最後は見守ってくれるのだ。私を信じてくれる。
「……もう大人だから、美羽が自分の人生を決めなさい」
その重みのある言葉に背筋が伸びるような思いがした。責任を持って行動していかなきゃいけないと思いつつ、わかっていなかったのかもしれない。
「ただ、後悔しない道を選びなさい。過去の恋愛なのよ。今も本気なのか。彼と生きる道を選んだらバッシングにも合うと思う。それを覚悟の上で言うなら、お父さんも美羽を応援すると言っていたよ」
親の愛を感じた。強く、強く……生きていかなきゃ。
朝から誰だろうか。ヨロヨロと立ち上がり歩いて玄関を開けると、お母さんが立っていた。
「お母さん……」
「美羽」
厳しい表情をしているお母さんは、中へ入ってきた。何かあったのだろうか。
座布団に座ったお母さんにお茶を出した。
「来るなら来るって言ってよ。何も用意してないよ。残業続きで疲れちゃっていて眠ってたの。なかなか帰らなくてごめんね」
ペラペラ話す私をじっと見つめていたお母さんは、眉間にシワを寄せながら苦い顔をしている。
「うちに手紙が届いたの。美羽と紫藤さんが再び会っているようだ。過去のことをマスコミに流すって……。本当なの?
誰がこんなこと。せっかく美羽は就職して立派にやっているのに」
苦しそうな声で言うお母さんを見ると、罪悪感が襲ってきたけど堂々としようと心の中で決意して口を開いた。
「大くんとは……仕事で再会したの。私の会社の商品のイメージキャラクターになって、撮影に同行したの」
「会っているって、本当だったのね」
悲しそうな表情をされると胸が痛い。
「はじめは関わらないようにしていたんだけど、私が一方的に大くんに会いたくなってしまって……」
大くんは、私を愛してないかもしれないのに、どうしてか大くんをかばってしまう。
気持ちを落ち着かせるためにお茶をひと口飲んで、お母さんを見ると考え込んだ表情だ。
気まずくなって外を見ると曇り空でますます気持ちが落ち込んでしまう。
「大くんは悪くないの。私が近づいたから何度も会うことになってしまって。悪いことをしてると思ったけど、どうしても大くんのことが好きなの。あの人以外の男性とは一緒に過ごせないと思う。立派な大人なのにワガママばかりごめんね」
深く息を吸い込んだお母さん。親不孝な娘でごめんなさいと心から反省する。もうアラサーなのに結婚もしないで、きっと心配しているだろう。
早く落ち着いてほしいと願っているに違いない。
「お父さんとお母さんにまで迷惑をかけて申し訳ないと思ってるよ。親孝行の一つもできなくて情けない娘だよね」
「美羽は、お母さんの大事な娘よ。情けないなんてそんなこと絶対にない」
深すぎる母親の愛情にポロッと涙が落ちてしまった。
お母さんは怒ったり注意したりするけれど、いつも最後は見守ってくれるのだ。私を信じてくれる。
「……もう大人だから、美羽が自分の人生を決めなさい」
その重みのある言葉に背筋が伸びるような思いがした。責任を持って行動していかなきゃいけないと思いつつ、わかっていなかったのかもしれない。
「ただ、後悔しない道を選びなさい。過去の恋愛なのよ。今も本気なのか。彼と生きる道を選んだらバッシングにも合うと思う。それを覚悟の上で言うなら、お父さんも美羽を応援すると言っていたよ」
親の愛を感じた。強く、強く……生きていかなきゃ。