シリーズ全UP済。果物のように甘いだけじゃない
COLORのCM企画が白紙になったのは、自分の責任だと感じていた。
そこでデザイナーである小桃さんにお願いすることを思いついて、社内に企画を出すと通った。
今は日本にいるらしい。
小桃さんがデザインをしている休息タイムにフルーツゼリーを食べているという企画案だった。


「問題はアポ取りなんだけど」
頭を悩ませている杉野マネージャー。
「実は友人なんです」
「初瀬は顔が広いなー」
杉野マネージャーに言われた。
その夜、小桃さんに会う約束ができて私と杉野マネージャーと千奈津で指定されたホテルに会いに行くと、スイートルームに滞在中だった。


今日は真っ赤なブラウスと黄緑色のフレアースカートと奇抜なファッションを着こなしている。
返事は「オッケーイ」だった。
仕事のスケジュールも自分で決めているようなのでなんとでもなるらしい。
「じゃあ契約は受けるから美羽ちゃんと二人きりにして。色々話したいことがあるからー」
杉野マネージャーと千奈津を追い出してしまった。
シャンパンを注いでくれる小桃さん。
「で、色々話すことがあるでしょ?」
「………まあ」
「紫藤大樹との過去。教えなさいよ」
小桃さんは軽い感じで変わった性格をしているけど、信用はできる人。だから、全てを打ち明けたの。
「宇多寧々が絡んでるのね。あの子可愛いのに性格がおブスなのよ。なんかされたらやり返してあげる。でもね、あの子……自分に自信がないだけだと思うの」
「あんなに綺麗なのに?」
「ええ。でも、それと美羽ちゃんの恋愛を邪魔するのは別問題なんだけどね」
憎くて怖くて悪魔のような人だと思っていたのに、そんなに心が弱くて傷つきやすい人だと知って素直に彼女にも幸せになってもらいたいと思った。

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