シリーズ全UP済。果物のように甘いだけじゃない

「だって、大くん……っ、連絡くれなかったから……っ。不安だったんだもんっ」
「俺だってそうだよ」

美羽をソファーから降ろしてカーペットの上で向い合って抱きしめ合う。
美羽は俺を好きなのだ。
俺も美羽を信じてやらないと、お互いがお互いを見失ってしまう。
愛することって難しい。信じ合うことってすごく大変なことなのかもしれない。


「宇多寧々さんが会社の前に来たり、大くんの事務所社長さんが来て怖かった。悪魔のように皆、大くんとの交際を反対してくるの。実家にまで脅しが入ったみたい。でも、お母さんは自分の人生だからって言ってくれたの」
俺の首に額をぴったりとくっつけながら、会えない間にあった出来事を教えてくれた。
抱きしめたままカーペットに横になると美羽は俺の上にぴたりとくっついている。

「美羽と毎日暮らすと体が治りそうな予感がする」
心の中では愛する女性と愛し合いたい気持ちでいっぱいなのに、悔しい。
「無理はしないで。私には大くんがいればいいから」
俺と美羽は相思相愛――。
絶対に俺と美羽は幸せになっていかなければいけない存在だ。
「もう、何があっても離さないから」
抱きしめる力を込めた。
「一緒に住まないか?」
「嬉しいけど……、事務所とかに反対されてクビになったりしないの?」
「黒柳も赤坂も応援するって言ってくれたんだ。社長は複雑な表情をしていたけど、心配しないで美羽。俺が美羽を守るから」
「大くん」
唇を重ね合わせると、美羽は震えていた。
怖いのは俺も同じだ……。だけど、これからは一緒に進んでいきたい。
< 128 / 291 >

この作品をシェア

pagetop