シリーズ全UP済。果物のように甘いだけじゃない
マンションについて急いで大くんの部屋に入りほっとする。
テレビをつけるとクリスマスの音楽番組がやっていた。
今日はCOLORも出演するらしいが、司会は大くんがやっている。
テレビの中の大くんはハキハキと滑舌のいい口調で話していて、完璧に仕事をこなしていく。大くんが帰って来たらすぐに食べることができるように、お皿にサラダを盛って冷蔵庫にしまった。
早く帰って来て欲しい気持ちの反面、テレビの中にいる大くんが数時間後に近くにいるのかと思うと緊張してくる。愛する人だからこそ緊張するのかもしれない。


二十三時までの生放送を終えるとメールが届いた。
『美羽、終わったよ。これから帰るからね』
大くんのメールにほっこりした気持ちになり、そわそわと待っていた。
イベントがあるとついつい考えてしまうことがある。ここに、はながいたらきっと楽しかっただろうなって。何年過ぎてもやっぱり思い出してしまうのだ。
それほど、私は大くんを愛していて産みたかった。
しばらくしてドアが開く音が聞こえ玄関に迎えに行く。
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