シリーズ全UP済。果物のように甘いだけじゃない
「過去のこと……謝りに来た。苦しい思いをさせて申し訳なかった」
「ごめんなさい。今日は三人で仕事だったから、一緒に来たんだ。クリスマスなのに悪かったね」
赤坂さんも一緒に頭を下げてくれた。
「正直、キミと大樹が再会した時は愕然としたんだ。でもさ自分だけの利益を考えていたと反省した。これからは応援する。芸能人である前に人として生きていきたいと思ったんだ」
きっと私と大くんのせいで二人には色んな負担をかけてしまったと思う。
色んな人に迷惑をかけながらだったけれど、大くんを愛してしまった。こんな私達を認めてくれたことに感謝しないといけない。
「あの、ありがとうございます」
頭を下げると二人はクスクスって笑いながら大くんをいじる。
「大樹。美羽さんのこと可愛くてしかたがないだろ? 色々あると思うけど負けんなよ」
「あんがと」
「邪魔しちゃ悪いし。帰るわ」
二人を見送ると大くんは玄関で私をぎゅっと抱きしめる。
「遅くなったけど、クリスマスしようか」
「うんっ」
グラスに赤ワインを注いでケーキとチキンとサラダを用意した。
大くんとこうやって幸せなひと時を過ごせると思っていなかったから、ジーンと熱いものが込み上げてくる。
たとえ抱き合えなくてもいい。
心が繋がっていればそれでいい。