シリーズ全UP済。果物のように甘いだけじゃない
「美羽。俺と結婚してください」
「え…………」
驚いて息が止まりそう。
「もちろん、今すぐにという訳にはいかないけれど。社長も認めてくれた。事務所と相談して一番いいタイミングで入籍したいと思っている。必ず幸せにするから」
じわじわと込み上げてくるこの気持ちは何なのかな。
きっと歓喜していて全身を駆け巡っているのかもしれない。
目頭が熱くなり、私は大くんの胸にしがみついた。
「こんな私で良ければ、よろしくお願いします」
抱きとめてくれる大くんは、私を包み込んでくれる。
私の良いところも悪いところも全部を受け止めてくれる人はこの人しかいないだろう。
「美羽、一緒に眠ろう」
「うんっ」
唇が唇を塞ぎ甘いキスをする。
赤ワインの渋みが残った口内をお互いに味わう。
大くんのキスは極上のスイーツを食べているように幸せだ。
大くんと私は一緒にベッドに倒れ込む。程よく酔っていてふわふわしながら大くんの体温を感じつつ目をそっと閉じた。
「大くんと一生一緒に居たい」
「俺も」
向き合って抱きしめながら眠りについた――。
朝になって目を覚ますと大くんは私をじっと見ていた。
恥ずかしくて布団の中に隠れようとすると、布団を引き剥がされる。服のまま眠ってしまうなんてだらしないと反省しつつ大くんに「おはよう」と微笑みかけた。
「おはよう、美羽」
額にキスが降ってくる。
優しくて大事にしてくれる大くんのことが愛しい。