シリーズ全UP済。果物のように甘いだけじゃない
仕事を終えて会社を出ると男の人が近づいてきた。
私とは関係ないと思って避けて歩こうとすると、目の前に立たれる。
「あの、すみません」
「……はい?」
「紫藤大樹さんとは、どういう関係なんですか?」
コートを羽織っているまだ二十代であろう男性は、ここに張り付いて待っていたのかもしれない。大くんの名前を出されて恐ろしい気分になる。無視をしてその場から去って行こうとする私の背中に冷たい声が投げられた。
「子供を過去に殺したのに、大物になったからまた近づいたんですか?」
思わず立ち止まってしまうと、男性は近づいてきて顔を覗きこんできてニヤリとされた。
「図星、ですか?」
違うと言いそうになったけれど、そんなことを言うと過去に関係があったと肯定するようなものだ。
「人違いではないですか?」
グッと堪えて言い返す。
どうにかバレないようにと思うと、鼓動が激しくなり、背中に汗をかいてしまう。
男の人は口元に笑みを浮かべる。
「写真、何枚かあるんですよ。それに情報提供もしていただいたんです」
「とにかく、私は関係ありませんから」
「へぇー」
なんとか振りきって歩くけれど、すごく気持ち悪くてタクシーで自宅に帰った。
家の中に居ても誰かに監視されているような気持ちになる。
大くんに相談しようかと思うけどあまり負担をかけたくないから我慢しなきゃ。
そんなことを考えていると大くんから電話が着た。私の不安な気持ちを察知しているようなタイミングだった。
『美羽、今日は来ないのか?』
「あ、うん。家に取りに行くものがあって……」
『…………』
「…………」
『なんか、様子がおかしいけど、どうしたの?』
鋭いな、大くん。それとも私がわかりやすい性格をしているのかな。
「いつも通り元気だよ」
笑って誤魔化すと、電話越しで大くんは悲しそうに、ため息をついた。
『お願いだから俺から離れようとか、変なこと考えるなよ』
「うん」
『俺が美羽を守るからなんでも言えよ』
「わかった」
愛しの大くんの声を聞いて涙が出そうになる。本当は今すぐにでも会いたいけど外に出るのが怖い。私は一人でなんとか耐えていた。
私とは関係ないと思って避けて歩こうとすると、目の前に立たれる。
「あの、すみません」
「……はい?」
「紫藤大樹さんとは、どういう関係なんですか?」
コートを羽織っているまだ二十代であろう男性は、ここに張り付いて待っていたのかもしれない。大くんの名前を出されて恐ろしい気分になる。無視をしてその場から去って行こうとする私の背中に冷たい声が投げられた。
「子供を過去に殺したのに、大物になったからまた近づいたんですか?」
思わず立ち止まってしまうと、男性は近づいてきて顔を覗きこんできてニヤリとされた。
「図星、ですか?」
違うと言いそうになったけれど、そんなことを言うと過去に関係があったと肯定するようなものだ。
「人違いではないですか?」
グッと堪えて言い返す。
どうにかバレないようにと思うと、鼓動が激しくなり、背中に汗をかいてしまう。
男の人は口元に笑みを浮かべる。
「写真、何枚かあるんですよ。それに情報提供もしていただいたんです」
「とにかく、私は関係ありませんから」
「へぇー」
なんとか振りきって歩くけれど、すごく気持ち悪くてタクシーで自宅に帰った。
家の中に居ても誰かに監視されているような気持ちになる。
大くんに相談しようかと思うけどあまり負担をかけたくないから我慢しなきゃ。
そんなことを考えていると大くんから電話が着た。私の不安な気持ちを察知しているようなタイミングだった。
『美羽、今日は来ないのか?』
「あ、うん。家に取りに行くものがあって……」
『…………』
「…………」
『なんか、様子がおかしいけど、どうしたの?』
鋭いな、大くん。それとも私がわかりやすい性格をしているのかな。
「いつも通り元気だよ」
笑って誤魔化すと、電話越しで大くんは悲しそうに、ため息をついた。
『お願いだから俺から離れようとか、変なこと考えるなよ』
「うん」
『俺が美羽を守るからなんでも言えよ』
「わかった」
愛しの大くんの声を聞いて涙が出そうになる。本当は今すぐにでも会いたいけど外に出るのが怖い。私は一人でなんとか耐えていた。