シリーズ全UP済。果物のように甘いだけじゃない
ライブを終えて打ち上げが終わったのは朝方だった。
私と大くんは昼頃にベッドの上で目を覚ます。
そっと目を開けると大くんと目が合った。
「おはよう、美羽」
吐息のような声で囁かれた。
もう、誰かに過去を隠して生きていくことはない。私と大くんらしく生きていけばいい。
大くんの手がそっと伸びてきて頬を包まれた。そして重なり合う唇。絡め取られた舌。
唇が離れると熱を帯びた目で私を見つめる。
「……なんか、できそう」
「え、何が?」
「美羽を愛せそう。途中で駄目だったらごめん」
起き上がった大くんは覆い被さってきた。そして私の首筋に吸い付く。チクっと甘い痛みが走る。だけどその痛みは快感へと変わって、私は甘い声が溢れてきた。
「無理……しないで」
「好きだから、愛してるから、抱きたくなるんだ。全てから解放されて安心して美羽を愛せるんだって思ったら、案外、早く治ったみたいだな。最後までできるか心配だけど……」
嬉しそうに笑った大くんの唇は、鎖骨にキスを落とし、胸に辿り着き、お腹の上に滑り落ちて、太ももにたどり着いた。
過去に抱かれた甘酸っぱい果実のような感情とは違って、甘い感情が込み上げてくる。
あの頃は、お互い子供だった。でも、必死で愛していたのは間違いない。
何度も切れてしまいそうになる快楽の糸を、大くんは焦らしながら速度を上げていく。
プチンと切れた糸の先に繋がっていたのは、想像を絶するほどの素晴らしい世界だった。
――もう、誰にも邪魔をされずに愛し合えるんだ。
一つになれたね、大くん。
大くん、私を見つけてくれてありがとう。
「美羽、ありがとう」
汗と涙にまみれている二人を太陽が照らしていたーー。