シリーズ全UP済。果物のように甘いだけじゃない
筋肉質な大くんの胸の中に包まれた。
相変わらずいい香りがして、抱きしめられるだけで胸が疼く。
「美羽は、自覚が足りない。世界で一番美しいし、可愛いし、いい子だよ」
なんだか、朝から恥ずかしい。体中が熱くなる。
大くんったら、平気でくさいセリフを言う。
「池村さん、迎えに来ちゃうよ。朝ご飯にしよ」
これ以上くっついて甘い言葉を聞いていたら、私から襲ってしまうかも。なーんてね。
大くんの胸から離れて立ち上がりキッチンへと向かった。
大くんが朝に食べるフルーツを用意する。
この一ヶ月で身についたことの一つだ。
朝はフルーツとドリンク。夜はタンパク質多めの主食抜き。
家に帰って来たら腹筋、背筋は欠かさない。余裕が有る時はランニングマシーンを出す時もある。
そうやって体型を維持していることを知った。芸能人は影で努力しているのだ。
食卓テーブルに並べると、座って「いただきます」と言って食べ始めている。
夫婦らしい雰囲気が流れているけれど……まだ入籍はしていない。
大くんの仕事の関係もあるからまだはっきりと決めていないのだ。
大くんと住み始めて一ヶ月が過ぎていた。
先週で仕事を退職して、今は大くんの家で炊事洗濯をしている。苦手な家事だが、働かず家にいてもやることがないので、自分なりに頑張っているつもりだ。
私も食卓テーブルについて一緒に食事をする。
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