シリーズ全UP済。果物のように甘いだけじゃない

寝室に行くと大くんはベッドに寝ている。さすがに疲れてしまったのかもしれない。
起こさないようにそっとベッドに入り、大くんに背を向けて目を閉じた。
寂しい気持ちになってくる。
自分以外の女性と二人きりだったなんて……たとえ友達だったとしても腹立たしい。
こんな風に思う私が出来ていないのだろうか。大くんは、私が男友達と二人きりで食事していても悲しくないのかな。
背中に大くんの体温が感じた。
大くんは私にピッタリとくっついてくる。
真夏でも関係なく体を寄せてきた。
「……起きてたの?」と小さな声で言った私。
「うん」
「寝てても良かったのに」
「美羽が元気ないから」
その言葉に固まってしまう私。気がつかれないようにしてたんだけど、大くんは鋭い。
「元気だよ……」
それでも、強がる私。大くんは抱きしめてくる。そして耳朶を舐めてきた。
そういう気分じゃないのに。
熱くなっている大くんの指先が私の胸の頂きを布越しに弾く。甘い痺れに体をよじった。
それでも大くんは胸を揉む。包み込むようにぐるぐると円を描きながら回されて唇からは吐息が漏れる。
大くんはズルイ。私の快感ポイントをすべて知り尽くしているのだから。そんなことで元気を取り戻させようとするのは卑怯だ。
「いや」
ちょっと本気で嫌がってみる。
「なんで?」
「つ、疲れてるの」
「……そっか。ごめん」
自分から拒否したのに離れられると切ない。
そのまま距離を置いて私と大くんは眠った。
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