シリーズ全UP済。果物のように甘いだけじゃない
そんなことを言って嫌われて終わりなのかな。
「芽衣子……意味わからない」
ふぅーと溜息をつかれて、イラッとしてしまう。
「わからないのは、明人でしょ? 五年も付き合って放置って……ありえない」
立ち上がってイライラを落ち着かせる。
「放置って? いつも一緒にいるじゃん」
男はそれでいいかもしれないけど、女は出産することを考えると、うかうかしていられない。
はっきり言わないとわからないのだろうか。
「私はね、結婚したいの」
「…………」
明人は私の言葉を咀嚼しているかのような表情だ。
ストレートに言ったのに通じていないのだろうか。
「だから、結婚がしたいの!」
ちょっと強めな口調で言ってしまった。
明人は表情を変えないで私を見つめる。
「今は無理でしょ。大樹に続いて俺が結婚となればCOLORを続けていくのは難しいし……。色々タイミングってあるんだって」
自分のことしか考えてないような言葉に、心の奥から傷ついた。
「そう」
マッサージチェアーに力なく座った私は、おでこに手をあててイラつきを落ち着かせるように溜息を吐いた。
もう……明人の顔なんて見たくない。
「私、もう三十二歳なんだよ」
「それってさ、俺と結婚したいんじゃなくて、結婚出来れば誰でもいいんじゃない?」
冷ややかな視線を向けてくる。
どうして、私が責められなきゃいけないの?
信じられない。
結婚したいからって誰でもいいわけじゃないのに。
「そんな……」
「芽衣子、最低」
明人はクッションに顔を埋めた。
そもそも、年下と付き合うなんて向いていなかったのかもしれない
。明人はただ単に甘えん坊で、年上の女だったら誰でも良かったのではないかな。
「明人は将来を何も考えてないんだね」
「……たとえば?」
「女にはタイムリミットがあるの。……私は明人の赤ちゃんがほしい。それにずっとずっと添い遂げたかった。結婚しなくても一緒にいれるけど、夫婦として堂々と二人で外を歩きたかった。二人で外出なんてしたことないもんね」
けれど、もう無理。
「芽衣子、イライラしてるみたいだから……帰るね」
すっと立ち上がった明人を睨んだ。
話し合う気もないのだろうか。
私は真剣に言っているのに……。
「もう、来ないで」
「…………なんで?」
「明人のマイペースな性格に付き合いきれない。私は、あなたとじゃなくて、言われた通り結婚したいだけなのかもしれない。……だから、婚活する」
「…………ふーん。じゃあね」
バッグを持った明人が玄関に向かって歩き出す。立ち上がった私は「待って」と声をかける。
「合鍵、返して」
明人の背中に向かって手のひらを広げる。振り返った明人は眉間に皺を寄せた。
バッグに手を入れてキーケースを出す。
「今は……大樹を祝福する時だと思わない?」
「祝福してるわよ。あの二人が不幸になれなんて言ってない」
合鍵を手のひらに置かれた。
ひどく冷たい気がする。
その鍵を見て明人を引き止めたくなった。
ずっと側にいたい。けれど、明人には結婚願望がなのだ。
「芽衣子、イライラすると飲み過ぎるから気をつけてね。おやすみ」
いつものように頭をポンポンポンと三回叩く。
「今まで、ありがとう」
せめて最期は感謝の気持ちでサヨナラをしたいと思い、言葉を投げた。
明人は眉毛を下げて困ったような表情を見せて家を出て行った。
ドアが閉まった途端、私の瞳からは涙がこぼれ落ちた。
自分で選んだ道なのだ。後悔してなんか、ない。
これ以上一緒にいると苦しくて耐えられないだろ。
私は、明人と過ごした五年間をリセット出来るのだろうか……。
「芽衣子……意味わからない」
ふぅーと溜息をつかれて、イラッとしてしまう。
「わからないのは、明人でしょ? 五年も付き合って放置って……ありえない」
立ち上がってイライラを落ち着かせる。
「放置って? いつも一緒にいるじゃん」
男はそれでいいかもしれないけど、女は出産することを考えると、うかうかしていられない。
はっきり言わないとわからないのだろうか。
「私はね、結婚したいの」
「…………」
明人は私の言葉を咀嚼しているかのような表情だ。
ストレートに言ったのに通じていないのだろうか。
「だから、結婚がしたいの!」
ちょっと強めな口調で言ってしまった。
明人は表情を変えないで私を見つめる。
「今は無理でしょ。大樹に続いて俺が結婚となればCOLORを続けていくのは難しいし……。色々タイミングってあるんだって」
自分のことしか考えてないような言葉に、心の奥から傷ついた。
「そう」
マッサージチェアーに力なく座った私は、おでこに手をあててイラつきを落ち着かせるように溜息を吐いた。
もう……明人の顔なんて見たくない。
「私、もう三十二歳なんだよ」
「それってさ、俺と結婚したいんじゃなくて、結婚出来れば誰でもいいんじゃない?」
冷ややかな視線を向けてくる。
どうして、私が責められなきゃいけないの?
信じられない。
結婚したいからって誰でもいいわけじゃないのに。
「そんな……」
「芽衣子、最低」
明人はクッションに顔を埋めた。
そもそも、年下と付き合うなんて向いていなかったのかもしれない
。明人はただ単に甘えん坊で、年上の女だったら誰でも良かったのではないかな。
「明人は将来を何も考えてないんだね」
「……たとえば?」
「女にはタイムリミットがあるの。……私は明人の赤ちゃんがほしい。それにずっとずっと添い遂げたかった。結婚しなくても一緒にいれるけど、夫婦として堂々と二人で外を歩きたかった。二人で外出なんてしたことないもんね」
けれど、もう無理。
「芽衣子、イライラしてるみたいだから……帰るね」
すっと立ち上がった明人を睨んだ。
話し合う気もないのだろうか。
私は真剣に言っているのに……。
「もう、来ないで」
「…………なんで?」
「明人のマイペースな性格に付き合いきれない。私は、あなたとじゃなくて、言われた通り結婚したいだけなのかもしれない。……だから、婚活する」
「…………ふーん。じゃあね」
バッグを持った明人が玄関に向かって歩き出す。立ち上がった私は「待って」と声をかける。
「合鍵、返して」
明人の背中に向かって手のひらを広げる。振り返った明人は眉間に皺を寄せた。
バッグに手を入れてキーケースを出す。
「今は……大樹を祝福する時だと思わない?」
「祝福してるわよ。あの二人が不幸になれなんて言ってない」
合鍵を手のひらに置かれた。
ひどく冷たい気がする。
その鍵を見て明人を引き止めたくなった。
ずっと側にいたい。けれど、明人には結婚願望がなのだ。
「芽衣子、イライラすると飲み過ぎるから気をつけてね。おやすみ」
いつものように頭をポンポンポンと三回叩く。
「今まで、ありがとう」
せめて最期は感謝の気持ちでサヨナラをしたいと思い、言葉を投げた。
明人は眉毛を下げて困ったような表情を見せて家を出て行った。
ドアが閉まった途端、私の瞳からは涙がこぼれ落ちた。
自分で選んだ道なのだ。後悔してなんか、ない。
これ以上一緒にいると苦しくて耐えられないだろ。
私は、明人と過ごした五年間をリセット出来るのだろうか……。