シリーズ全UP済。果物のように甘いだけじゃない
朝、ほとんど眠れないまま目が覚めた。
すごく体が重たい気がする。顔も浮腫んでいるに違いない。
明人には泣かされてばかりだったな……。
ブーブーと携帯が震えた。
『おはよう、芽衣子』
毎朝日課になっている明人からのメールだった。
彼は、別れようって言ったのに理解しているのだろうか。
『別れたんだから、メールしないで』
乱暴に携帯をベッドに置いた。
こうやって五年間、明人に振り回されてきたのだ。
体を許してしまった私が悪かった。
考えてみれば、しっかりとした交際スタートの言葉もなかったし。
「はぁ……」
もう、振り回されたくない。
出勤準備をしなきゃ。立ち上がってバスルームへ向かった。
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