シリーズ全UP済。果物のように甘いだけじゃない

日曜日には、結婚相談所へも行った。一人で行くのは勇気が必要だったけれど、何もしないで家にいるのは辛かった。
「理想とする結婚はどんな感じですか?」
個室に案内されて、落ち着いた話しやすい雰囲気の女性と話をする。美味しい紅茶を出してくれてのんびりと出来る雰囲気。
「……そうですね。真面目な方であれば。あとは子供が欲しい方がいいですね」
「お子さんが好きなんですね」
「ええ……」
「本日登録されなくても大丈夫ですからね。もしも、誰かと出会いたいと思うのであればまたお越しくださいね」
「はい」
お見送りされて外に出ると日が暮れ始めていた。
テレビを見ればCOLORが出ているし、町中を歩けばポスターがある。
自分と明人がいかに不釣り合いだったか、理解出来るようになってきた。
一人でゆっくりと歩く。
明人に会いたい。
会って手を繋いでDVDが観たい。
二人でお風呂に入って、髪の毛を乾かしてあげたい。
彼と一緒にいたい。その延長線上に結婚を求めてはイケないのだろうか。
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