シリーズ全UP済。果物のように甘いだけじゃない

気まずい空気が流れている。
明人のせいなんだから。
イライラしていると、自然と美羽さんと二人きりになった。
「別れたの」
さっぱりした口調で教えると、美羽さんは驚いた表情を見せた。
「え、でも……黒柳さん、芽衣子さんのこと好きだと思いますけど……」
「それはどうだろうね。元々不釣り合いだから。幸せに結婚がしたいな。平凡でいいの」
強がっているように聞こえちゃったかな……。
明人とじゃなくたって、幸せになってやるんだから。
「あの、果物言葉って知ってますか?」
「え?」
「付き合いだした日っていつですか?」
「八月十四日……だけど」
突然、わけの分からないことを言い出した美羽さん。何かをパソコンで調べ始めた。
もうすぐ八月十四日がやってくる。あと二週間くらいか……。
「あ、ありました。桃ですね! 変わらぬ愛情・優しい心ですって。これ、結構当たるんですよ!」
「変わらぬ愛情……か」
「ちなみに、私と大くんは十一月三日で『相思相愛』だったんです。私、フルーツメーカーにいたので……」
「ああ、なるほど」
一生懸命励まそうとしてくれている美羽さん。
少し、心が温かくなった。
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