シリーズ全UP済。果物のように甘いだけじゃない

家に行くと、芽衣子は困った表情をしながらも中へ入れてくれた。
ちゃんと謝ろう。そして、自分の彼女になってもらおうと思って行ったのに、緊張してうまく言葉を紡げなかった。
だけど、しっかり抱いてしまって。
それから、俺は定期的に芽衣子を抱くようになり、五年が過ぎていた。
一ヶ月くらいは、喘いでくれなかった。
黙って俺に抱かれているだけで、悲しそうな顔をしていた。
どうすれば、芽衣子が喜んでくれるのか。
『喘いで』
最中、俺はお願いをしたこともある。だけど、芽衣子は眉間に皺を寄せて困った顔をするのだ。
『気持ち良くないの?』
『……私は……気持ち良くなる必要はないから』
『は?』
『あなたが満足すればそれでいい』
知らず知らずに傷をつけていたと知り、反省した。その日が八月十四日。
『俺のこと……彼氏的な存在と思っていいよ』
『……え?』
その日が正式に付き合い始めた日だと思っていた。
でも、それ以外は愛の言葉を伝えたことがなかった。考えれば、考えるほど……反省するばかりだ。
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