シリーズ全UP済。果物のように甘いだけじゃない
明人は「付き合ってるって、言えばいいじゃん」と平然とした口調で言った。
「はあ?」
「今まで秘密にしろって伝えてごめんな」
頭を撫でられる。そんな仕草にドキドキしてしまう。私はそれほど、彼のことが好きだ。
「仕事があるから行くけど、また空き時間に来るからね、芽衣子」
すっと立ち上がった明人。
「もう。いいよ」
ポツリと呟くと明人は無表情で見つめてきた。
「なにが?」
「来なくていい。明人が来ると目立つし週刊誌に撮られるよ」
「もう、撮られたけど。近いうちに載るんじゃない」
なぜに、そんなに堂々としているのだろう。
「何か食べたいものあれば持ってくるから、メール届くようにしてね」
「明人」
「ん?」
「結婚したいって言ってごめんね」
「……謝るようなことじゃないだろ」
「幸せになってね」
「色々言い返したいところだけど、時間がないから行くから。俺は芽衣子と別れたつもりはないからね。じゃあ、行ってくるね」と明人は、部屋を出て行った。
きょとんとする私。
今の話の流れからすると……付き合ってるみたいな口ぶりだ。
面倒をみてくれたし、優しいけれど。
宝石店で女性といるところも目撃したのだから、流されてはいけない。
明人は優しいから私を放っておけないのだ。
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