シリーズ全UP済。果物のように甘いだけじゃない

――来なくていい。明人が来ると目立つし週刊誌に撮られるよ。
病院からの帰り間際、そんなことを言われてしまった。
俺は、芽衣子にとって俺は迷惑な存在になりたくなかった。
芸能界の仕事をしている俺と交際していることを知られるせいで、平凡な生活を壊したくなかった。
冷やかされる芽衣子が可愛そうだと思ったから……。
「大樹はライブで交際宣言したけど……明人はどうしようかしらね」
「うん。しなくていいかな……べつに」
「あんたね、人気商売なのよ。しっかりとしてよ」
社長は俺の性格を知り尽くしているから、バンバンキツイことを言う。チョットしたことではへこたれない俺。
腕を組んでいる社長を見つめる。
「うん…………とりあえず、隠さない方向で行きたい。そして、目立つような会見とかはしたくないかな……」
「仕方がない子ね。での、子供だったのに大人になったのね、明人も。まずは、しっかりと芽衣子さんと話し合いなさい」
呆れながらだったけど、社長は認めてくれた。
一つ条件が出され、雑誌に掲載された日に、俺はSNSで呟きで報告することになった。
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