シリーズ全UP済。果物のように甘いだけじゃない
2 ―二人の距離感―
久実15歳 赤坂21歳
2月。
久実ちゃんが中学3年生になるほんの手前から、ありえないほどCDが売れ始めた。COLORメンバーは次々に仕事が決まっていく。
信じられないほど金が入ってくるし、今まで冷たかった番組プロデューサーも笑顔を向けてくるのだ。
女は死ぬほど寄ってくる。
そんな目まぐるしい変化の中で、俺らCOLORは話し合いを設けることにした。
俺と黒柳は大樹の家にお邪魔した。コンビニで買ってきた菓子を広げて雑談をしていたが、シーンと静まり返った。俺らは売れてきている時で、不安だったのだ。この先、メンバーの誰かだけが売れるかもしれないし、辞めたがるメンバーもいるかもしれない。
三人の未来を三人だけで語り合う。
「俺らの人気は永遠に続かないかもしれない。だけど、三人で協力して生き残り続けたいと思う」
大樹は真っ直ぐ俺と黒柳を見て言った。
黒柳は「そーだね」とふんわりと返事をする。俺は「俺らを応援してくれる人を裏切ってはいけない。しっかりやっていこうぜ」と伝えた。久実ちゃんを思い出す。俺らは少なからず誰かの希望になっているかもしれない。
「どんなことがあっても乗り越えよう」
大樹がそう言う。
短い話し合いだったが、三人の意識は同じだということを確認し合えた。
俺らはアイドルではなくプライベートモードで会話を始めた。
「俺……今好きな子いるんだ。でも……恋愛のこととか社長に言えないよな」
幸せそうな口調で言った大樹。
人が人を好きになるのは当たり前のことだからいいが、スキャンダルには気をつけてもらいたい。俺も女とは体の関係があるから人のこと言えないけど。
「社長は恋人作るの禁止って言うけど……年頃だしね。俺たち」
黒柳が眠そうにあくびをしながら言った。そして、言葉を続ける。
「頼むから二人共スキャンダルとかやめてねー。バレないようにしてよー」