シリーズ全UP済。果物のように甘いだけじゃない

日曜日、私は自分の部屋で受験勉強をしていた。でも、身に入らずぼんやりしていた。
トントンとノックがされ「はい」と言うとドアが開いてお母さんが入ってくる。
「久実、赤坂さんから電話よ」
「えっ!」
嬉しくて立ち上がり、お母さんから電話を受け取った。
「もしもし」
『おう。元気にしてるか?』
「まあまあですかねぇ……」
『これから妹とランチするけど、久実ちゃんも一緒に行かないか? 受験勉強頑張ってるんだろ。息抜きしようか』
「ぜひ」
『じゃあ、車で迎えに行くから。お洒落しろよ』
電話を切ってお母さんに事情を説明すると「たまには息抜きしておいで」と言ってくれた。急いで着替えをする。
赤坂さんの妹さんに会うのも初めてだ。お友達になれるといいな……。
ドキドキしながらマンションの外で待っていると車が到着した。
降りてきた女の子は私よりも大人っぽい。赤坂さんに似ていて美少女だった。
赤坂さんも車から降りてきた。
ボーダーに白い七分丈のシャツにジーンズ姿の赤坂さん。日に日にイケメン度を増している気がする。見ているだけで眩しい。
「妹の舞。久実ちゃんと同じ年だから、仲良くしてやって」
「はじめまして! 舞です。よろしくね!」
ハキハキ話す舞さん。
私も挨拶をする。
「よろしくお願いします」
人懐っこい性格に、私は安心していた。
助手席に乗せてくれて舞さんは後ろに座った。
赤坂さんの運転する車に乗せてもらえるなんて、幸せすぎる。一生の思い出になるかもしれない。
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