シリーズ全UP済。果物のように甘いだけじゃない
「夜中にお仕掛けに行くわ。男連れ込むなよ」
「ありえないですよ。私なんかと付き合ってくれる人いません。胸も小さいし……」
「なんだそれ」
話をしていると日が暮れて、一度つけた電気をまた消してから窓から外を覗くことになった。
窓際に置かれたソファーに膝立ちをして、背もたれに体重をかけつつ並んだ。肩がぶつかるほど近い距離に、一人胸をトキメカせて空を見上げる。
光が上がってドンっと音がするのと同時に、火の花が咲く。遠目だけどしっかり見えてとっても綺麗だ。
「穴場スポットですね」
「だろ?」
至近距離で目が合ってしまい、思わずフリーズしてしまった。
数秒間、空ではなく紫藤さんを見つめる。街の灯で薄っすらと表情が見えて、花火が上がると一瞬明るくなってハッキリ見えた。
「どうしたの?」
「い、いえ」
紫藤さんの甘い声での問いかけに、膝から崩れそうになった。
こんな経験したことがなくて、変な気分だ。
顔がだんだんと近づいてきて、キスされた。
くすぐったくて鼻から甘い声が出てしまう。そして私は力が抜けてソファーに正座してしまった。
「熱いね、ほっぺ」
頬を手のひらで包まれて、ニッコリとされた。すると、顔が近づいてきてキスされると思ったら、髪の毛を耳にかけられて耳たぶを甘咬みされる。
「ひゃ……!」
ゆっくりと唇にキスが降ってくる。朦朧とする頭で必死でキスを受け止めた。
「……抵抗、しないんだな」
キスが止み、質問される。
逃げようとかまったく思わなかった。
本当は好きって言ってもらいたい。
今は紫藤さんともっとくっつきたいって思う。でも素直に言葉にできず何も答えられなかった。
もう一度キスをされ今度は首筋にキスが落ちてきた。
固まったまま、紫藤さんを見つめる。
付き合っていない人とこんなことして良くないのではないか。すごくイケないことをしている気がする。
プチン、プチンとボタンが外されていく。恥ずかしくて手で隠す。
紫藤さんは顎のラインを撫でてきた。あまりにも優しいタッチだったからゾクッとしてしまう。