シリーズ全UP済。果物のように甘いだけじゃない
自分の席に戻って、いつも通り仕事をこなしながら時間が過ぎていく。明日は早いか仕事を切り上げて、帰る準備をしていると「紫藤さんによろしく」なんて言って千奈津は笑っていた。
「もう」
「冗談よ。お土産はちんすこうでいいから」
「買う余裕があればね」
「お疲れー」
会社を出て電車で家に帰る。いつもと同じように、日常を過ごしていたのに何かを感づいたかのように、家に戻った途端、母から電話がかかってきた。
『もしもし、美羽。元気にやってるの?』
「うん。仕事はちょっと忙しいけど、元気」
『変わったことはない?』
「そうだね、普通な毎日かな」
『そう』
安心したような母の声を聞いたら、明日、大くんに会うなんて言えなかった。
一番心配して、近くにいて慰めてくれた母に心配をかけたくない。
大くんと同じ空間にいると知るだけで母は不安になると思う。だから黙っておこう。
「仕事が落ち着いたら帰るから」
『約束よ』
電話を切って深い溜息をついた。
土、日とたった二日間、一緒にいるだけのこと。大丈夫。
しっかり仕事をしてくるだけのことなんだから。
「もう」
「冗談よ。お土産はちんすこうでいいから」
「買う余裕があればね」
「お疲れー」
会社を出て電車で家に帰る。いつもと同じように、日常を過ごしていたのに何かを感づいたかのように、家に戻った途端、母から電話がかかってきた。
『もしもし、美羽。元気にやってるの?』
「うん。仕事はちょっと忙しいけど、元気」
『変わったことはない?』
「そうだね、普通な毎日かな」
『そう』
安心したような母の声を聞いたら、明日、大くんに会うなんて言えなかった。
一番心配して、近くにいて慰めてくれた母に心配をかけたくない。
大くんと同じ空間にいると知るだけで母は不安になると思う。だから黙っておこう。
「仕事が落ち着いたら帰るから」
『約束よ』
電話を切って深い溜息をついた。
土、日とたった二日間、一緒にいるだけのこと。大丈夫。
しっかり仕事をしてくるだけのことなんだから。