シリーズ全UP済。果物のように甘いだけじゃない
好きな人とセフレ関係だなんて、なんだか切ない。紫藤さんの手は私の太ももに移動しだすと同時に、ガバっと起き上がった。
「今日はそういうこと、やめませんか?」
「……」
じっと私を見つめる紫藤さん。なんだか申し訳なくて目をそらして立ち上がった。意味もなく台所へと行って固まる私。せっかくプレゼントを渡そうと思ったのに。
「どうして?」
「どうしてって……」

紫藤さんは、こういう関係を悪いと思っていないのだろうか。芸能人の間ではあたり前のことなの?

「俺としたくないの? 会えない間、ずっとしたかったのに」
「会えない間って、先週もしたじゃないですか」
「……そうだけど。できれば、毎日でも抱きたいんだけど」

言葉を失う。
「体を求めるだけの関係は嫌」
なんて言えない。
「私は……、私の友達にも会ってほしいです。二人きりでいつもこんなことして、不健康じゃないですか?」
「友達に俺と会うの、反対されてるの?」
「そういうわけじゃないですけど」

少し考えた顔をした紫藤さんは、一つ頷いて私を見た。
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