先日、芸能界を引退した推しが殺し屋になっていました
推しに殺されるのは本望です
【つぼみside】

「最後に言い残したことは? 聞いてやるよ?」

手も足も縛られていて、口にはガムテープ。

そして目には目隠しをされていた。

シーン、とする空間の中、身動きの取れない私に、唐突に落とされたのは、低くて安定した男の人の声。

私はゆっくりと首を横に振った。

最後に…言い残したことなんてない。

いいから、早く殺して。

そんなことを思いながら私は目隠しの下で目をギュッ、と強く瞑った。

「あっそ」

ーーカチャ…

額に冷たい感覚が走り、何かが押し付けられるように当てられたことが分かった。

多分拳銃だろう。

私はこれから、どうやら銃殺されるらしい。

刺殺かな、撲殺かな、とか色々考えてたけど、

そうか…。

銃殺…なんだ。

今すぐにでも私の頭部を破壊しようとしているんだ、と実感して、そこで初めてブルっ、と体が芯から震え上がった。

でもこれだけ拘束されてたら後戻りなんて出来ない。

私の方も腹を括って死を覚悟する。

明日とか、ニュースでも報道されるのかな。

ーー県ーー市のーー高校に通う高校1年齋藤つぼみさん16歳の死体がーーで発見されました。齋藤さんは頭から血を流して倒れており、その後の司法解剖で頭部から複数の銃弾が見つかった事から、何者かに銃殺されたとして捜査を進めています​───────…

あぁ、こんな感じかな。

出来れば名前は公表しないで欲しいけど、まぁされちゃうんだろうなぁ……。

「おい」
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