先日、芸能界を引退した推しが殺し屋になっていました
流石の私もビビり散らかし、キセキ様に体が触れないよう、湯船の隅に体を寄せる。

でも……

「おい、もっとこっち来い」

「へっ……」

次の瞬間。

体を後ろからギュッ、と包み込まれた。

……!!

髪をひとつに結んで、顕になった項に。

キセキ様の暖かい吐息が当たる。

「きっ、キセキさま……っ」

情けないひょろひょろとした声しか出せない。

素肌と素肌が触れ合う感覚が生まれて初めてで。

……落ち着かない。

湯船からもくもくと上がる湯気も……

直接当たる素肌も……

全てが…、なんだかエロい……。

ーーカプ。

「ひゃっあ…っぅ」

ヘンテコな声が漏れたのは、

キセキ様が私の耳たぶを甘噛みしてきたから。

あぁ……。キセキ様の歯の感覚…。

すんばらしいです…っ。

なんて浮かれていたら、今度は……

「ひゃぁああっ…っ、ぁ…あぁ…」

首筋を縦にツー、と舐められていった。

体の芯から力が奪われていくみたいな感覚に、そこでようやくもたれ掛かるみたいに体を全てキセキ様に預けた。

「ヘロヘロになってんの? かわいい」

「…んっ…、はぁ……っ、ぁあ…っ」

余裕そうに、微笑むキセキ様は神秘的で、甘くて、尊い。

推しとお風呂に入ってる、なんて世界線……

一体誰が予想したのでしょうか。

「風呂から出たら…、たっぷり可愛がってやるからな」

「んっ…、はぁ…っ」

のぼせる。

そんなセリフ……

のぼせちゃいます…。


キセキさまぁ​────────────…
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