先日、芸能界を引退した推しが殺し屋になっていました
***

ーーピチュ…ピチュ…

「ん……」

優しい小鳥の鳴き声が耳を掠め、徐々に朧気だった意識が鮮明になっていこうとしていた。

あれ…。

なんか……暖かい…。

暖かい温もりが…、私の体にぴっとりと密着してる……。

てへへ…。ゆたんぽかな…?

あったかい~~。

それにしてもなんだか大きなゆたんぽだなぁ。

ゆたんぽをさらにギュッ、と引き寄せて、巻き付けるように足を掛けた。

ーーぎゅー…

てへへ……てへへ…。

それにしてもゆたんぽなんて、いつ買ったかなぁ。

あ…っ、もしかして…。

これ…まだ夢の中ぁ??

「てへへ……てへへ…」

「あー、もうっ、暑苦しい。離れろ…!」

「んがっ……」

一瞬鼻を摘まれて、その衝撃でパッ、と瞼を開けた。

え…?

「お前なぁ…、一晩中ひっつきやがって…」

「えっ!?」

目の前に広がる光景に目を疑った。

う、うそ…っっ。

「きっ、キセキ様…!?」

「あぁ、そうですよ。昨日帰ろうとしたらお前ぶっ倒れたから…、この部屋まで運んでやったの」

「へっ!? そうなんですか…!? ってことは…っ、私たち…っ、まさか……っ、、まさか…!?」


ヤッた…………………………………???


「言っておくがなんも無かったからな」
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