先日、芸能界を引退した推しが殺し屋になっていました
ちょっとでいいから待って……!!

こんな土壇場で、”‬頼むから待って!”‬と強く願った。

だって……っ、だって…っ、、、

「しょうがねぇなー、言い残したことでも出てきたのか?」

やれやれ、といういうようにペリッ、と口を塞ぐガムテープを剥がしてくれた彼。

私はすぐさま叫んだ。

「キッ、キセキ様………っ」

彼の顔面をこれでもかと目に焼きつける。

はぁあああ……っ、かっこいい…。

かっこいい!! !!

こんな……っ、こんな奇跡ありますか!?

神様……!!!

「おまっ…、なんで……」

怯むように驚きの声を発した目の前の彼。

そう……。

私を拉致、監禁。そして殺そうとした殺し屋は、なんと……、

先日芸能界を引退した私の推し…

キセキ様だったのだ​───────。

「えっ、どうして……っ、どうしてキセキ様がここに……!?えっ、殺し屋に転職ですか!?」

「お前、俺のファンか?」

「はい!僭越(せんえつ)ながら推させて頂いております!」
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