ずっと特別なマブダチで
 地獄のような暑い日々を過ごしていた夏が終わり、もう十月。少し肌寒いくらいで、とても心地よい。私はいつも通り川へ行った。

「あ、葵先輩――」

「葵! お待たせっ」

 私が葵先輩に話しかける前に、可愛らしい女の人が葵先輩のところへ駆け寄ったのだ。

「こゆき、全然待ってないよ」

「えー、本当? なら良いんだけど……ってかここすごい綺麗だね! 紅葉もいっぱいだし」

「ん、そうでしょ。お気に入りの場所」

 こゆきと呼ばれる女性――。お互い呼び捨てだし、葵先輩とどういう関係なんだろう。私は気になったけれど不安で仕方なかった。

「ここ、俺のお気に入りの場所なんだ」

「私もお気に入りになった! 葵、教えてくれてありがと」

 ――足が震えた。もしかしてこゆきさんは、葵先輩の彼女だったりする……?
 私は、落ち葉を避けながら、走って家まで帰っていった。
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