真名子さんの名(字)活

先生が適当に折ったであろう四つおりになっている白い紙をテーブルに並べ、
「こちらは女性陣、こちらは男性陣」さぁ世界へ羽ばたきなさい!みたいな年配の女王妃のようなオーラを出されて、順番に紙を選ぶ。書かれた紙を見ると




 おにぎりが書いてあった。




えっ!?ペア決めならAとかBとかで良かったんじゃないですか妃!?
そこ頑張っちゃった!?私のおにぎりがインパクト過ぎて思わず【山中沙織】および【さおりん 25歳】に
「……何の絵書いてあった?」って聞いたらさおりんも思うことがあったのか、

「……イカでした」

イカ!?待って!色づかい白と黒で攻めたの!?黒のマジック一つで書けるもので攻めたのですか!!しかもちょっと上手いのがまた、掴み所がわからないよ妃!
どうしても気になってもう一人の女性に何の絵かを聞こうとしたら、

「はい!トマトの人は!?」

って、男性陣のおでぶの紙の相手を探す妃に、トマト!?!?って、なんでそこで赤色使ったんだよ!!ってなったよね。
あれ?じゃあおにぎりとイカは若干手抜き?料理で言うスーパーのお惣菜買うレベルだった?

「僕……おむすびです」

と、幸うすの男性が手を上げていたが、おにぎりの事をおむすびって言う人を初めて見て……あの白いタンクトップ画家を思い出してしまった……んだな。

「でわそれぞれのキッチンに、レシピと材料が置いてありますので、各自協力して作って下さい」と、妃がはいよーいドン!って謎の急かしをかましたので、おむすび君と近くにあるキッチンに慌てて向かってレシピを見る。

自己紹介よりも料理、婚活よりも料理。
妃が書いたであろう、少し読みづらいレシピを上から読み上げていくが、ん?ん?ん?


【肉じゃがのホワイトソース】


妃……これ……肉じゃがなのか、シチューなのか、それとも全く私の知らないメニューなのか。
肉じゃがでいいじゃない!妃!ホワイトソースかけなくてもいいじゃない妃!!
見ても見ても醤油で味つけしている肉と野菜のレシピに、トッピングホワイトソースで困惑してしまう。

おむすび君は完全に私を頼む……んだなみたいな顔してやがるし、少し料理がわかる周りの男女もレシピを見て固まってる。

「これ……ホワイトソースいる?」
「いや、それなら最初から醤油無視してベースをホワイトソースにする?」

と、婚活どころではない状況にヒソヒソと声が聞こえるが、妃はそんなのお構い無しに熟練している手でじゃがいもの皮を、包丁でサララララと削いでいく。

「とりあえず……じゃがいもの皮を剥きましょうか」

と、おむすび君とピーラーでじゃがいもの皮を剥いていこうとしたら、教室の出入口の扉からやたらと視線を感じて目を細めて見ると、

サングラスと、探偵が着てそうなベージュのコートを着ているホルモンが、こちらを覗いていた。

ちなみに私の動向が見たくて、そのコートはリサイクル店で死ぬほど探したと後でホルモンが言っていたが、
馬鹿過ぎて言葉が出ねぇ!!!

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