真名子さんの名(字)活
とりあえず誰がいたっけ?と中学の卒業アルバム……は多分実家なのでクローゼットの奥に閉まっている、もとい封印している私の黒歴史の日記帳を引っ張り出す。
BOXに仕舞われたイチゴ柄の、書店に並んでたらどんだけ長編ですかという程の厚さの日記帳。見た目も重いけど中身も重い。
いつだか実家に帰った時に母親が
「真名子の部屋もう客間にしたから」
って、私もう住んでいないから片付けたよって言われて部屋を確認したらさ。
ものの見事にベッドとテーブルだけ。そりゃあね、私住んでないからね。いいよいいよ、仕方ない。私の使わない者は可燃物として灰にさせてくれて構わない。
イチゴ柄の日記帳、テーブルの上にポツンとあるのはどうした?
たっくさんある可燃物と不燃物との抗争に、逃げて逃げてとにかく逃げなきゃ!って身を隠してたの?部屋を確認した瞬間、テーブルの上に一人だけいるイチゴ柄の日記帳を見て私崩れ落ちたよね。
……助かったの?貴方だけ?って、震えた手でこの子を抱き締めてあげたと同時に、怪我とかないかとりあえず安否確認したよね。ページをね。
こっわ!
1ページから最終まで全部ビッシリ何か書いてるし、その当時のカップルの名前とか書いてるし、思い出せない占いの結果とか書いてある。
『あー。◯◯は野田で◯◯は斎藤かぁ。本当は◯◯は雄介が良かったのに。』
とか、怖い。占いしてるだけなのに私上から目線からのターゲットの名前に出された男子達すげぇ可哀想。
しかも【ん】の書き方、平仮名学んできたよね?って思うほどの【ん】の書き方独特過ぎてヤバい。
伝わるかなー?
┣┓
なんかこんな感じ。たまにいるよぉクセ字も文章も強い若い職員。記入しなきゃいけない書類に目を通すと、あれ?なんか私友達だっけ?みたいな文字の書き方と文章。多分ここにハートとか書いても違和感ない。
きょぅは、みなさんとぃっしょにごはんを食べにぃってみんなぅれしそぅでした。
みたいな、漢字何処忘れてきた?という文章を書く職員みたいな文章がこのイチゴ柄にも……。
1ページから最終にたどり着くまで私の体力と気力が果たして何処まで残るのか、次の日休みの私はこの日記帳とバトルをしようと思ったが……やっぱり私、アラのサー。
日記帳持って今度は朝までヨギボーで沈んでて、「職員さぁぁん!」ってまた節々固まって助けを呼びたい状況に陥ってた。
ちなみにディナーロールは1個減ってて、本当に足の無い透けてる人に食べられたのかと若干天井を見たが、自分の胸元にカピカピに乾いたパンクズが転がってて、あぁ私、小腹空いてノーマルで食べたことも忘れてたぁ。
足の無い透けてる人もまさかの濡れ衣に、
「いや私、固形物とか食べれんて……」って頭に響いた気がした。