友達以上恋人未満の片想い
俺を気遣ってわざと明るく笑う実里に、胸が痛くなる。


いつか、実里がちゃんと俺だけを好きになってくれるように、頑張らないといけないのは俺だ。


実里にこんな顔をさせたいわけじゃない。





「あ、芦屋(あしや)ー」



廊下を歩いていると後ろからやってきた明るい茶髪センター分けのチャラ男、五十嵐が馴れ馴れしく肩を組んできた。



「なあ芦屋さ、岩崎さんと付き合ったんだって?今度さ、俺、芦屋、岩崎さん、星野さんの四人で遊ばない?」


「…なんでだよ。離せ」


「そんなこと言うなよー。いいだろ?あのさ、ここだけの話なんだけど、実は俺、星野さんのことが好きなんだよね」


「…はあ」



今まで特定の彼女を作らなかった五十嵐が誰かを好きと言うなんて、少し驚いたけどそんなことはどうでもいい。



「だからなんだよ?俺はおまえみたいなやつ苦手なんだよ。チャラチャラしてて、好きな女いんのに他の女とも遊んでるやつ」



昨日五十嵐が他クラスの女と仲良く腕を組んで帰ってるのを見た。


こいつはそういう男なのだ。別に他人が何しようが文句を言うつもりはないが、見ていて不愉快になる。



「いやー星野さん、好きな人いるんだよね。だから頑張っても意味ないじゃん?だから他の女の子とも絡んどかないと、一人になった時寂しいからさ」


「あっそ。別に好きにすれば」
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