友達以上恋人未満の片想い
「あ、きょーや。ねえ次いつあたしの相手してくれんのー?」


「あーきょうちゃんじゃーん」



廊下を歩いているだけでいろんな女の子達に話しかけられて、笑顔と共に適当に返しながらなんとか教室までたどり着く。



いつもだったらこの光景に優越感に浸っているところだったけど、なぜか今日は少しうざったいと思ってしまった。


女の子が大好きな俺にしては、珍しい日だ。



「…おい」



廊下側の一番後ろの自席に頬杖をつきながら座り、窓側の前の方で岩崎さんとお弁当を食べている星野さんをじっと眺める。


花壇の前で話してから三日が経つが、星野さんとは一度も話せていない。


他の女の子には自然と話しかけられるのに、なぜか星野さんに話しかけることだけは勇気がいる。それはあの子が特別な女の子だからだろう。



「おい」



話さなければ話さないほど、星野さんのことが気になるしあの笑顔がまた見たいと思ってしまう。


安堂に向けられている笑顔はもう見たくないけど。



「おい、おまえだよ変態」



ぬっといきなり目の前に現れた芦屋に、思わずうわっと声を上げる。



「え、芦屋…?」
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