友達以上恋人未満の片想い
もしかして誰かから告白か?…安堂?


不安を胸に中庭に着くと、端っこの方で小春ちゃんが同級生の女子五人くらいに囲まれていた。



「あんたさ、安堂くんのなんなの?」


「この前一緒に帰ってたよね?委員会の時も仲良さそうにしてたしさ」


「かと思ったら、今日は恭弥と二人でいたよね?水道のとこで」


「調子に乗んなよ、ビッチ」



小春ちゃんが輪の中心で怯えたように震えていた。



「聞いてんの?」


「あ、えっと…そんなつもりじゃなくて…」


「じゃあどういうつもりなんだよ!」



イライラしたように叫んだ一人の女の子が、どんっと小春ちゃんを突き飛ばした。



「何してんだよ!」


「え、安堂くん…?」



小春ちゃんに駆け寄ろうとした足が、ぴたりと止まった。


俺よりも先にいつからいたのか安堂が飛び出したからだ。



いつもニコニコしている人懐っこい安堂が、今は小春ちゃんを庇うようにして立ち女子五人組を睨みつけていた。
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