友達以上恋人未満の片想い
腕を絡ませて、開け放たれたワイシャツから谷間を覗かせた胸を押し付けてくるエミに「あはは」と乾いた笑いを返す。


いつもだったらこういう誘いは喜んで乗るけど、今はそんな気分になれなかった。



気がつくと、またあの笑顔が見れないだろうかとつい星野さんを目で追ってしまう。


こんなに一人の女の子が気になることなんて、初めてだった。





「…あ」



ゴミ捨てじゃんけんに負けて焼却炉に向かっていると、途中の花壇で花に水をあげている星野さんがいた。


思わず立ち止まりなんて声をかけようか悩んでいると、ふと顔を上げた星野さんと目が合う。



「…あ、五十嵐くん。今日掃除当番なんだ」


「え、あ、うんそうなんだ。ゴミ捨てジャンケン負けてさ。ついてないよ」



星野さんがふふっと女の子らしく可愛く笑った。



「星野さんは何してるの?」


「ああ、私は園芸委員の仕事。今日が担当日の日だから水あげてたところなんだ」


「へーうちの学校、園芸委員なんてあったんだ」



さりげなく花壇の花を眺めるフリして、星野さんの隣に並ぶ。



「あのね、安堂くんも同じ委員会なんだ」
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