友達以上恋人未満の片想い
「…最初は真っ直ぐに気持ちを伝えてくれる実里ちゃんに、惹かれていたよ。でも俺の幼なじみがね、昔から体が弱いんだ。何回も入退院を繰り返していて、学校なんてまともに行けたこともない。そんな彼女の頼れる友達は俺しかいなかった。…付き合ってほしい、他に何もいらないからって言われて、断れなかったんだ。彼女には俺が全てだから。他に支えてあげられる人がいないから。俺が支えてあげたいって思った。だから実里ちゃんの気持ちには応えなかった」
先輩は最後の一口をぐっと飲み干すと、立ち上がった。
「でも今なら思うよ。応えなくて正解だったって。実里ちゃんのそばには幸せにしてくれるやつがちゃんといるからね」
「…じゃあなんでそんな顔で笑うんだよ」
俺の呟きは、もう行ってしまった先輩の背中に届くことなく消えていった。
*
「芦屋ー!優勝目指して頑張れよー!」
相変わらずでかい声援を送ってくる五十嵐は無視して、後ろを向いてクラスメイトと喋っている実里の前に行く。
くいっとポニーテールにしている髪を引っ張ると、実里がぱっと笑顔になって振り向いてきた。
「遼、頑張ってね!応援してる」
「ああ。…あのさ、実里。もし優勝したら、俺のお願い一つ聞いてくれないか?」
「え?」
きょとんと首を傾げる実里に「絶対勝つから」と付け加える。
「うん、いいよ!無茶はしないでね」
ぽんっと実里の頭を撫でて、整列に向かう。
試合時間は二十分の前後半制。計四十分の間でなるべく相手と差をつけたい。
先輩は最後の一口をぐっと飲み干すと、立ち上がった。
「でも今なら思うよ。応えなくて正解だったって。実里ちゃんのそばには幸せにしてくれるやつがちゃんといるからね」
「…じゃあなんでそんな顔で笑うんだよ」
俺の呟きは、もう行ってしまった先輩の背中に届くことなく消えていった。
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「芦屋ー!優勝目指して頑張れよー!」
相変わらずでかい声援を送ってくる五十嵐は無視して、後ろを向いてクラスメイトと喋っている実里の前に行く。
くいっとポニーテールにしている髪を引っ張ると、実里がぱっと笑顔になって振り向いてきた。
「遼、頑張ってね!応援してる」
「ああ。…あのさ、実里。もし優勝したら、俺のお願い一つ聞いてくれないか?」
「え?」
きょとんと首を傾げる実里に「絶対勝つから」と付け加える。
「うん、いいよ!無茶はしないでね」
ぽんっと実里の頭を撫でて、整列に向かう。
試合時間は二十分の前後半制。計四十分の間でなるべく相手と差をつけたい。