友達以上恋人未満の片想い
「そうだ。勝ったらお願い聞くってやつ。遼頑張ってたし、私にできることだったらなんでもするよ。だから言って?」


「え…いい、のか…?だって俺、負けたのに…」


「いいの!私が許す!」



えっへんと腰に手を当てて胸をそらす実里に、ふっと思わず微笑む。


そしてその小さな手を取り、真っ直ぐ見上げる。



「…キス、してもいい?」


「…へ?」



実里がぱっちりな目をまんまるくして驚いたように「ええ!?」と叫んだ。



「嫌なら別にいいけど。そもそも勝ってないからお願い聞いてもらう権利ねぇし」



恥ずかしくなってぷいっとそっぽを向くと、実里が握っていた手に力を込めて「…わかった」と呟いた。



「…いいよ。キス、しても」


「…え?」



次は俺が驚いて目を丸くする。



「だって私たち…付き合ってるわけだし。なんでもお願い聞くって言ったのは私だから…」



真っ赤な顔で俯きながらもごもごと話す実里の頬にそっと手を添える。


ぴくっと実里が反応をして、上目遣いでこちらを見てきた。
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