友達以上恋人未満の片想い
「もし小春ちゃんが付き合っちゃったら、どうしたらいいんだよ!」


「知らねぇよ。仕方なかったってことで諦めれば?」


「嫌だよ!」



嫌だけど、好きな子が好きな人と結ばれて幸せになれるなら、それでもいいのかな…。



「おまえはどうしたいんだよ」


「俺は…」



…俺は、どうしたいんだろう?


答えは出せないまま、チャイムが鳴り教科担当の先生が入ってきた。





放課後の教室には日直の小春ちゃんが一人残っていた。


日誌を書く手はとっくに止まっていて、下にあるグラウンドを真剣に眺めている。



そういえば初めて小春ちゃんとちゃんと話したのも放課後の教室だったなと思い出す。


安堂に夢中だった小春ちゃんは前に立つ俺にすら気づいていなかった。



「安堂のことが好きなの?」



小春ちゃんがあの日と同じように、たった今俺に気づいたように目を大きく見開いて頰を赤く染めた。



「びっくりした…五十嵐くん」


「ははっ、あの日の再現してみました。今も安堂のこと見てたんでしょ?」
< 50 / 74 >

この作品をシェア

pagetop