友達以上恋人未満の片想い
珍しく肯定的な意見の芦屋に、らしくないと思う。



「なんかあったの?」


「…いや別に」



それ以上答える気のない芦屋に俺も詮索するのをやめる。


きっと芦屋にも色々あるんだろう。



不安な気持ちを抱えてついにバレンタインの日がやってきた。





「なんでバレンタインまで俺がゴミ捨てなんだよ…」



小春ちゃんが気になるけど、また運悪くゴミ捨てじゃんけんに負けてしまいゴミ袋を二袋持ちながら焼却炉に向かう。


こんなことしている間に小春ちゃんはもう告白しているかもしれない。



こうして俺の初恋は呆気なく終わっちゃうんだな…。


いやそもそも小春ちゃんのこと応援するって決めたあの日からもうとっくに終わってるのか…。



「安堂くんのことが、好きなの!」



角を曲がろうとして聞こえてきた“安堂”という言葉に、思わず隠れる。


そっと顔を出して覗いてみると、花壇の前で安堂と他クラスの女の子が向かい合って立っていた。



「…俺は」


「お願い、すごく好きなの。付き合って!」
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