友達以上恋人未満の片想い
女子生徒が積極的に安堂に抱きつき、思わず「うわあ」と感嘆する。


やっぱり安堂はモテるんだな…。



安堂は抱きついてきた女の子の体をそっと押し戻した。



「…ごめん。俺、好きな子がいるんだ。付き合うのはその子しか考えられない」


「…そっか。それって…やっぱり星野さん?」


「…うん」



冷や水をぶっかけられたような気持ちだった。


なんとなくそうなんじゃないかと思っていたけど、いざ安堂が小春ちゃんと両想いだとわかってこんなにも苦しくなるなんて。



…そっか。これが失恋の痛みなんだな…。





しばらく呆然とその場で立ち尽くしてから、もう一度花壇の方を見ると安堂たちはもういなくなっていた。


重い足取りで焼却炉に行き、いつもの三倍時間をかけて教室に戻る。



「…え?なんで…?」



てっきり誰もいないと思っていた教室には、小春ちゃんが一人座っていた。



「小春ちゃん…?」



呼びかけて近づいていくと、チョコの入った箱を手に小春ちゃんがばっと振り向いてきた。
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