友達以上恋人未満の片想い
side遼
江戸川先輩が彼女と別れたと噂を聞いたのは、二月に入って一週間が経った頃だった。
目立つ人なだけあって、その噂は普通に過ごしているだけで耳に入ってきた。
だからきっと実里もこの噂を聞いたに違いない。
だけど実里はいつもと変わらない表情で俺の名前を呼び、今の関係を変えようとはしないから俺も何も言わなかった。
何よりも実里を手放したくなかったから。
「あ、いたいた。幼なじみくんと実里ちゃん。一緒にスイーツバイキング行かない?」
「…は?」
実里と教室を出て靴箱に向かう廊下の途中で、向かい側から江戸川先輩が片手を上げて駆け寄ってきた。
「姉貴が働いてるお店でね、タダ券いっぱいもらって困ってたんだ。幼なじみくんには球技大会の時にお金借りて返してなかったし」
「…別に二十円だし、俺たちじゃなくてもよくないですか?」
なんでわざわざ俺たちを誘うんだ。
実里だって驚いて呆然としてるに決まって…。
隣の実里を見ると、実里はタダ券にキラキラとした瞳で夢中になっていた。
…そうだ。実里は甘いものが大好きだった。
目立つ人なだけあって、その噂は普通に過ごしているだけで耳に入ってきた。
だからきっと実里もこの噂を聞いたに違いない。
だけど実里はいつもと変わらない表情で俺の名前を呼び、今の関係を変えようとはしないから俺も何も言わなかった。
何よりも実里を手放したくなかったから。
「あ、いたいた。幼なじみくんと実里ちゃん。一緒にスイーツバイキング行かない?」
「…は?」
実里と教室を出て靴箱に向かう廊下の途中で、向かい側から江戸川先輩が片手を上げて駆け寄ってきた。
「姉貴が働いてるお店でね、タダ券いっぱいもらって困ってたんだ。幼なじみくんには球技大会の時にお金借りて返してなかったし」
「…別に二十円だし、俺たちじゃなくてもよくないですか?」
なんでわざわざ俺たちを誘うんだ。
実里だって驚いて呆然としてるに決まって…。
隣の実里を見ると、実里はタダ券にキラキラとした瞳で夢中になっていた。
…そうだ。実里は甘いものが大好きだった。