ロゼリア
社交界から遠ざかって八年。

ついにこの時が来てしまったようだ。

「…失礼ですが、何と書いてあったのですか?」

私の微妙な反応にメイの表情も曇る。

「アメリアル学園の入学案内が届いたそうだわ」

貴族の子供達は十五の歳に入学の案内が届く。

入学は強制ではないが、殆どの貴族がその学園を卒業しているので社交界では登竜門と呼ばれ、その学園に通ったかどうかで今後の人生が大きく変わる程、その影響力は大きいと言われている。

私はデュネール公爵家の娘なので、社交活動をしていなくとも案内は送られてくるだろうとは思っていた。

「お父様は私が嫌なら無理に行かなくても良いと書いてあるけど…」

この八年間、私は十分に休ませてもらった。

社交活動という貴族の勤めもお父様はしなくて良いと、この領地にまで連れてきてもらったし。

これ以上は迷惑をかけたくない。

「全く…お父様は相変わらず私に甘いんだから」

いつまでも甘える訳にはいかないのに。

「私、学園に行くわ」

メイにそう言うと、私は早速お父様へ返事を書いた。
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