ロゼリア
「確かに学園は皇室の騎士団が数名派遣されて、警備にあたっている。安全なのは間違いない。だが、候補者の一人というだけで予想外の危険にも晒される。そこでなんだが、ロゼリアにこれを用意したんだ」

お父様が側に控えていたメイドに目で合図を送ると、そのメイドは小さな箱を持ってこちらへ近づいて来た。

「開けてごらん」

お父様からそう言われ、箱を開けてみると。

「…髪?それに、このメガネは一体…」

中に入っていたのは、ブラウンのウィッグに厚みのある丸メガネ。

「これは三人で話し合って決めた事だが、学園では必ずそれをつけて過ごしなさい。見た目を変えるだけでも、危険から遠ざけてくれるはずだ」

「あの…お気持ちとプレゼントは嬉しいですが、容姿を変えたところで名前で気づかれるのではありませんか?」

それに公爵家の令嬢がこのような格好をして人前に出たら、色々と噂をされそうだけど…。

「名前も身分も変わりのを用意しよう。パリス男爵家の娘なんてどうだろうか?」

「それは良い考えですね」

お父様の言葉にレオンお兄様が賛成する。

「容姿や身分を偽る必要ありますか?」

「…あるね。学園に通うなら確実に。いや、こっちの話さ」

何だかレオンお兄様の様子がおかしい。
< 5 / 10 >

この作品をシェア

pagetop