ロゼリア
一通り頭に入れたところで時間になった私は、一人学園へ向かう事にした。
校内は学生以外の立ち入りが禁止となっている為、新入生と思われる生徒たちがメイドを付けずに歩いていた。
誰も私がデュネール公爵家のロゼリアだとは気づいていないようで、気にする素振りも無く、私の横を通り過ぎていく。
まるで空気に溶け込んだかのような、そんな不思議な感覚。
「…本当に周りを気にしなくていいのね」
これなら、友達が出来るのかもしれない。
公爵家の身分に惹かれず近寄ってくれる、本当の友達が。
(大体、お茶会に参加しただけで勝手に友達面してくるのよね。人脈が増えるのは嬉しいけど、そうゆう人達って自分の利益で動くから本当の友達って言えないのよね)
学園に到着すると、門の前には何台もの馬車が長い列を作っていた。
馬車の家紋、大きさ。そして装飾からして、その家の財力と家柄が伺える。
列の横を通り過ぎ、中に入ろうとしたその時。
見知った家紋の馬車に私は思わず足を止めた。
(あの家紋…)
純潔を意味するあの白百合の家紋は。
「ライト侯爵家のミューラ様よ!」
彼女が馬車から降りた瞬間、周りを取り囲むような人だかりで彼女の姿は見えなくなってしまった。
彼女はまさにその言葉がよく似合う清らかな方で、毒事件の時には自分の責任だと言って公爵邸へ何度も謝罪に訪れたと聞いた。
事件の直後という事もあり私と直接会っての謝罪はお父様が断ったらしいけど、後でその話を聞かされた時は驚いたものだ。
ライト家はデュネール家の次に権力を持っている貴族。
自分が関与していると疑われない為の謝罪なら一度で十分なはず。
仮に敵対したとしても何かに支障を来たす訳でもないし、あるとしても周りから変な憶測をされるぐらいだろう。
(特に貴族はプライドが高く、また自己保身に走る人が多い。やはり、ミューラ様のように誠実な方が皇太子妃に選ばれるべきよね)
実際にミューラ様は、その時の行動が評価されて皇太子妃候補に選ばれている。
私のように家柄の良さだけで選ばれたのとは訳が違う。
校内は学生以外の立ち入りが禁止となっている為、新入生と思われる生徒たちがメイドを付けずに歩いていた。
誰も私がデュネール公爵家のロゼリアだとは気づいていないようで、気にする素振りも無く、私の横を通り過ぎていく。
まるで空気に溶け込んだかのような、そんな不思議な感覚。
「…本当に周りを気にしなくていいのね」
これなら、友達が出来るのかもしれない。
公爵家の身分に惹かれず近寄ってくれる、本当の友達が。
(大体、お茶会に参加しただけで勝手に友達面してくるのよね。人脈が増えるのは嬉しいけど、そうゆう人達って自分の利益で動くから本当の友達って言えないのよね)
学園に到着すると、門の前には何台もの馬車が長い列を作っていた。
馬車の家紋、大きさ。そして装飾からして、その家の財力と家柄が伺える。
列の横を通り過ぎ、中に入ろうとしたその時。
見知った家紋の馬車に私は思わず足を止めた。
(あの家紋…)
純潔を意味するあの白百合の家紋は。
「ライト侯爵家のミューラ様よ!」
彼女が馬車から降りた瞬間、周りを取り囲むような人だかりで彼女の姿は見えなくなってしまった。
彼女はまさにその言葉がよく似合う清らかな方で、毒事件の時には自分の責任だと言って公爵邸へ何度も謝罪に訪れたと聞いた。
事件の直後という事もあり私と直接会っての謝罪はお父様が断ったらしいけど、後でその話を聞かされた時は驚いたものだ。
ライト家はデュネール家の次に権力を持っている貴族。
自分が関与していると疑われない為の謝罪なら一度で十分なはず。
仮に敵対したとしても何かに支障を来たす訳でもないし、あるとしても周りから変な憶測をされるぐらいだろう。
(特に貴族はプライドが高く、また自己保身に走る人が多い。やはり、ミューラ様のように誠実な方が皇太子妃に選ばれるべきよね)
実際にミューラ様は、その時の行動が評価されて皇太子妃候補に選ばれている。
私のように家柄の良さだけで選ばれたのとは訳が違う。